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美術修復家ってどんなお仕事?

貴重な仕事、美術修復家

昔の日本画や仏画、壁画といったものはとても貴重なものです。
後世まで残しておきたい作品も、どうしても経年劣化によってどんどんと色が落ちてしまったり紙が傷んでしまったりすることがあります。
そういったものは昔から補修をされてきていますが、簡単にできることではないです。

特に貴重な国宝や重要文化財に指定されているようなものは代わりになるものがないですから慎重に作業をしてしっかりときれいに仕上げることが求められます。
そこでそういったものの修復作業をする人たちが美術修復家です。
美術修復家は民間資格が設けられており、現在200名ほどの人たちが資格を得て活動をしています。

もともとは美術修復を家業としていた人たちが家を継いで行ってきた仕事ですが、今では技術を学んでこの仕事に就いているという人も多いです。
仕事としては経年劣化した歴史的な文書や芸術作品だけでなく、自然災害や事故の影響で損傷を受けたものも対象として取り扱っています。

美術修復家になる方法

美術修復家になるためには専門の知識を身につけることが必要です。
やはり知識がなければできないことですし、傷んでいる状況を見て適切な作業をしなければ失敗することもありますし、損傷がひどくなったり取り返しのつかない状況になったりする可能性もあります。
そのため修復のための技法や使用する薬剤など細かく学ぶことが大切です。

昔は家業として修復業をしている家の子供が修行して後を継ぐことが多かったですが、今は美術修復に興味関心のある人が弟子入りしてくる人も多くなっています。
それ以外にも大学や大学院で保存修復に関する課程を設けているところもあり、そういったところで学ぶことでスキルを磨き美術修復家の試験を受けるという人も増えています。

画力は関係ない

画家になりたかった人が自分の才能がないということに気付き、美術修復家になることを検討するということがありますが、画力は関係ないです。
絵を描くことと修復をすることは全く違う作業であり、必要となるスキルも違っています。
そのため画家を志望していた人が美術修復家への道へ転向すると失敗することが多いです。

美術修復家となるために必要なのは地道な作業をする根気強さや作品の状態を的確に判断する洞察力といったものであり、これは画力とは無関係といえます。
過去の芸術作品への知識もあり使われている素材についても知識があるほうが正確に作業をすることができますし、最近では技術革新が進んでいるために最先端技術への知識も必要です。
このように過去の芸術作品への知識から最先端技術の知識まで必要ですし、先輩たちの作業からも学ぶことが必要であり、向上心や古い作品に対しての敬意を持っていないとできない仕事といえます。